Beijing
王舒野、杭春晖、吴强、朱建忠、Elizabeth Alison、柳根澤、児玉靖枝、中野弘彦、宮澤男爵 新・朦朧主義
2013/9/14–10/13
この度、東京画廊+BTAP(北京)は9月14日(土)より、『新・朦朧主義』展を開催致します。本展では、「朦朧体」という明治期に確立された日本画の没線彩画の描写手法をテーマに、4カ国から集められたアーティストによる平面作品を展示致します。参加アーティストは王舒野(中国)、杭春暉(中国)、呉強(中国)、朱建忠(中国)、エリザベス・アリソン(アメリカ)、柳根澤(韓国)、児玉靖枝(日本)、中野弘彦(日本)、宮澤男爵(日本)の9名です。また会場では、北京故宮美術館の支援を受け、同館に収蔵されている宋・元王朝時代絵画の複製作品を合わせて展示致します。
約100年前、岡倉天心の思想に共感した菱田春草や横山大観などの日本画家は、フランスの印象派などの西洋絵画を参照し、伝統的な手法に縛られない新しい表現を模索しました。日本画の伝統である線描を徹底的に退け、色調が混じり合う淡い「ぼかし」を画面いっぱいに広げることにより、空気や光の質感などの自然描写に留まらず、観念や情感など東洋的な精神世界をもイメージ化することを試みました。当時の批評家からは西洋画法の稚拙な折衷と厳しく批判され、濃淡やぼかしを強調した作品群は「朦朧派」という蔑称を与えられます。しかし結果的に、彼らの革新的な表現はその後の日本画の発展に多大な影響を与えることになります。
『新・朦朧主義』展開催にあたり、美術評論家の峯村敏明氏とアーティストの王舒野の協力のもと、朦朧派の表現に通じる現代作家9名を選定しました。ただし、単に表現上の類似を指摘することが本展の目的ではありません。本展は、世界的な絵画史の文脈を遡り、そこにおいて現代東アジアの絵画表現を捉え直すことを目指すものです。
朦朧派は、積極的に異文化の遺産を参照することで発展の可能性を探った日本画の運動です。その一方で日本における朦朧体の出現は、西洋の絵画が、それ固有の美術史観から切り離された後いかに展開したか、ということを示すものでもあるでしょう。このように、それぞれ独自の歴史をもった文化圏が、絵画において交錯する様子を明らかにすることは、現代芸術がもつ問題点と可能性を浮き彫りにしてくれるはずです。
『新・朦朧主義』展開催にあたり、峯村敏明と王舒野が本展に向けて執筆したエッセイを収録する展覧会カタログを発行致します。また初日9月14日(土)の午後2時より関連シンポジウム、午後3時よりオープニング・レセプションを開催致します。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。