Tokyo
メイドオブプラスチック
2010/10/6–10/30
トークショー: 10月6日(水)17:00 - 18:00
天野一夫(豊田市美術館チーフキュレーター)x金田勝一
オープニングレセプション:10月6日(水)18:00 - 20:00
東京画廊+BTAPでは、金田勝一個展『メイドオブプラスチック』を開催いたします。日本での個展開催は4年ぶりとなる本展では、幅5.4mの大きなペインティング作品を含む、新作平面・立体作品約10点を中心に展示されます。
金田勝一は1970年京都府生まれ。1995年に京都市立芸術大学美術研究科(絵画専攻)修了後、京都を拠点に制作活動を行っています。2009年からは京都市立芸術大学で油画の教鞭も取っています。
今の時代を記録し続けている金田が描くのは、自身が生活する京都郊外で起きている現代の物語や風景です。金田が、自身を取り巻く「環境」を記録するのは、それが自分のものの見方・考え方、作品、言語、アイデンティティを決定しているからです。金田は自身のイギリスでの留学生活を通じて、絵を描く時のセオリーや素材の特質、ものの見方といったものは、その場所が持つ文化や教育に合ったものとして発生し、環境に合わせて変化していくということを強く感じたと言います。
金田自身の創作の原点は、幼少期に没頭したプラモデル工作の体験です。その体験を起点として、「メイドオブプラスチック」な自分を作っている環境を具現化します。さらに、自分自身の作品に対して「なぜこの作品はこのように表現されているのか」という問いを通じて向き合い、その国のその環境でしか生まれ得ない表現方法や、油彩画・岩彩画という構造やものの捉え方、考え方を問い直し、自身にとってのリアリティを問い続けます。
作品表面の艶やかな色の豊かさが印象的な金田の作品は、絵画、立体ともにFRP/樹脂を支持体とし、油絵具やニス、アクリルラッカー、自動車用塗料やデカール、サーフェーサーなど、異なる素材を巧みに組み合わせることで生み出されています。素材そのものが持つイメージをも利用し、それらを記号として選択しながら並べていくことによって鑑賞者のイメージを操作し、描くことと同様の効果をもたらします。
ペインティングでは、一見車のボンネットのように仕上げられた画面に、金田が日常の中で目にし体験したモチーフが画面全体にダイナミックに再構成されています。F-1のサメをモチーフにした作品が印象深い立体のシリーズ《Human's Own》は、元々「人間という動物の性質を考える」という作業からスタートしたもので、利益を求めてスピード社会を走り続ける人間の本質を、止まると死ぬサメおよびスピードの象徴であるF-1マシンの形を通して表現しており、我々が住む日常のリアリティが記録されています。本展では、シリーズ新作となる《Human's Own EVO 7》が展示されます。
私たちを形作るものは何であるのか。私たちの行いの果てに何があるのか。今の時代を切り取りながら、見るということの本質を問い続けている金田勝一の作品を、この機会にぜひご高覧ください。