Tokyo

呉強  無上清涼

2009/2/18–3/14

オープニング・レセプション:
2009年2月18日(水) |18:00-20:00

このたび、東京画廊 + BTAPでは中国人水墨画家、呉強による個展『無上清涼/Supereme Purity』を開催いたします。昨年、北京(BTAP)で行われた個展に次いで2度目となる本展では、山水画を中心に計48点を展示いたします。

呉強は1977年福建省長汀生まれ。2000年に中国美術学院水墨画専攻卒業。卒業作品<雲壑>が学内において優秀賞を受賞し、祟麗奨学金を獲得。同学院のパーマネントコレクションとして収蔵されています。2003年には<空山新雨後>が第二回全国中国画展で優秀賞を受賞。2005年に中国美術学院中国画研究科修士課程を修了し、現在は浙江大学芸術学院に勤務しています。

呉強の水墨は整然かつ繊細な画風と、穏やかで深みのある雰囲気を有します。着色は綿密な筆使いと古風な色彩で表され、近景から遠景への変化が見事に表現されています。一つ一つの筆・墨使い、造形方法、画面構成には、これまで受け継がれてきた水墨画の伝統と魅力を守り抜こうとする作家の姿勢が表れています。中国美術学院在学中の7年間、呉強は中国伝統絵画に重点を置き、宋や元の時代に栄えた<有我之境>や<無我之境>に見られる美学的傾向を追求してきました。

呉強は表現の芸術性を重要視する一方で、作品の意味を暗喩する特定のイメージや注記を用いることはほとんどありません。彼は独創的ですが、伝統的な技法を意識的に変革しようとするわけではありません。自身の美的感覚や理想とするものを、客観的描写によって見る者に伝えます。今回の出展作品である<春山清遠>や<白云山日出>などに見られる優雅さと孤独は、今日の軽薄な社会には不釣り合いなもののようにさえ見え、それは現代の画家が直面する孤独と無力感を表現しているとも言えるでしょう。これについて、梅鶴圃氏は以下のように述べています。「画家は孤独から逃れることはできない。こころの中で感じる孤独感を言葉でもって伝える事はできないのである。これに耐えられるのであれば、この孤独感は画家にとって一種の幸せだと私は思う。」

水墨画家・呉強の深遠なる世界をこの機会にぜひご高覧ください。