Shigeki Yoshida吉田茂規
吉田茂規は1963年茨城県生まれ。1987年に和光大学を卒業後、版画や絵画作品を中心に制作していました。1997年に文化庁芸術家在外研究員としてニューヨークに派遣後、活動の場をニューヨークへ移します。ニューヨーク市立大学ハンター校(CUNY)へ進学し、写真の授業を受けたことがきっかけとなり、その後は写真を媒体に作品を発表しています。
吉田の写真作品は共通して、人々が普段目にしているような日常的な風景が被写体となっています。アパートの階段、美術館の展示室、ニューヨークの街区など、視覚には確かに捉えられているものの、記憶には残らないイメージが、ゼラチンシルバープリントによる深い陰影によって映し出されています。吉田の写真は、刻一刻と表情を変える自然光のある瞬間を捉え、それを見る者の時間へと引き渡そうという試みとも言えます。