東京画廊+BTAPでは1月13日(土)より、杉謙太郎による「器も花のうち」展を開催致します。
この展覧会は弊ギャラリーが「現代における表現」をテーマに近代以前から日本人の美の感性を継承してきた「陶」や「書」そして「花」のシリーズ展の1つになります。
花の表現では今までに2002年の岡田幸三氏の個展と2022年の池坊由紀氏の「花をアートへ」展を企画しました。
古代から花は存在しましたが、「いけばな」が成立したのは室町時代の後期八代将軍、足利義政による東山文化の頃と言われています。その後江戸時代に池坊2代専好の活躍によって盛んになりますが、明治の近代化のなかで「いけばな」は花道家の表現から、一般人の習い事を中心とした組織へと変わります。そのために国は「いけばな」を芸術とは認めず、東京藝術大学をはじめとした他の美術学校でも「書」と同様に教えられることはありませんでした。
1960年代に芸術の各分野に広がった「前衛」から、勅使河原蒼風らが「前衛いけばな運動」を起こしましたが、中川幸夫だけがその道を発展継承しました。新しいミレニアムに入るとアートの表現もグローバル化によって多様となり、「いけばな」の世界にも孤立して活躍する花道家が現れます。
18歳で花の道を志した杉氏もその一人です。杉氏は福岡県の薔薇農家に生まれ、10代で華道家元池坊の花を学びます。その後、日本を離れヨーロッパを巡り、帰国後は原田耕三氏に師事しました。
華道家元池坊の古典立花研究者、岡田幸三氏から原田耕三氏へと受け継がれた古典の立花を中心とした「いけばな」を学び、2013年から国内外を問わず幾多の花会を重ね、花による現代の表現を模索してきました。
本展では、器あってこそ成り立つ「いけばな」の本源に戻り、近・新作を展示します。
杉氏の表現は「いけばな」における器の意味をどのように見立てたのでしょうか。
杉氏は花材を探すと時と同様に、近隣の山々を日々歩き回り、自ら様々な原土を集めています。また、この土の造形作品は、花が生まれ出る種子を象徴するものであり、短い花の命を映す碗(花器)として、コロナ禍に見舞われた2019年〜2023年に制作されました。杉氏はそれを「花実(かじつ)」と名付けました。
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。