Beijing

徐冰 地書 Book from the Ground - Pop-up Book

2021/9/30–11/27

東京画廊+BTAP(北京)では2021年9月30日より、中国人アーティスト・徐冰の「地書(Book from the Ground)」の出版を記念して、『地書Book from the Ground - Pop-up Book』展を開催します。本展はCASHARTとの協力で実現されました。薛俊浩氏をキュレーターに招き、2021年11月27日まで開催されます。

本展の展示は、プロジェクト「地書」の発展を追うものです。2003年に構想されたこのプロジェクトは、「Book from the Ground - Studio Installation」や「Book from the Ground: From Point to Point」などの段階を経て現在に至りました。その最新の形態は、多様なメディアと空間構成による作品で、CASHARTとのコラボレーションから生まれました。

ミレニアムを迎えるまで、徐冰は展覧会のために世界中を飛び回っていました。その時、公共の場であり国際的な旅行者が集まる空港内の標識が、世界共通の言語を構成していることに気づきます。それらのビジュアルアイコンは、そのシンプルさによってコミュニケーションの障害を乗り越える働きをしていました。徐冰は2003年に、ガムの包装紙のリサイクルマークに着想を得て、「絵文字」を使った長編ストーリー「地書」の制作を開始します。数年をかけて資料を収集しコンセプトを練り上げ、試作・修正を経て、2012年に現代社会の平均的なホワイトカラーの労働者・小黒(Mr. Black)の1日を描いた「地書」の初版が完成しました。

プロジェクトは現在も展開しています。2016年、「地書」は書物という媒体に適した表現技法を追求し、「めくる」、「輪をまわす」、「ひっぱる」、「旋回させる」などの動きを取り入れたポップアップ・ブック(立体絵本)を生み出します。絵文字と飛び出す図形が巧みに組み合わさることでインタラクティブ性と可読性が増し、徐冰の普遍的(ユニバーサル)な書物は一層魅力的な読書体験を提供できるようになりました。紙媒体の書籍は衰退の道を辿っていますが、徐冰のポップアップ・ブックは読書の本来の機能を体現するものです。ページをめくるという体験の感動を読者に取り戻させる点において、ポップアップブックは、たしかに、アートの包括的展示法として優れたものです。徐冰は、ハイテクを競う今日のアートの傾向に馴れ合うのではなく、より原始的でローテクな芸術表現の魅力を擁護しようと主張するのです。

一方で、徐冰は「地書」を実用の領域に導入し、その言語を生活の具体的な場面に応用することを試みています。そうすることで、芸術作品を普及させ、芸術的思想を伝達するのです。2019年以来、徐冰とCASHARTのコラボレーションは、「地書」プロジェクトを延長することで、現代生活で日常的に現れる「地書」のシンボルを集め、また二次元のシンボルをアップグレードしてきました。次元の障壁を壊して三次元の空間へと導き入れるなど、総合的な技術的手段を補うことによって鑑賞者へ提示する方法が更新され、「地書」の物語は拡張され続けています。

本展では、「地書」のコンセプトに沿った都市模型が初めて展示され、ギャラリースペースが「地書の空間」へと変貌します。また本展ではギャラリー内に「小黒(Mr. Black)コンセプトストア」がオープンします。多次元の装置と没入型の視覚体験によって、鑑賞者は「地書」の芸術的思想である「普天同文(ユニバーサルな記述)」の深層を理解することができるでしょう。アートと公衆、アートと生活を隔てる障壁を打ち破るこれらの試みは、「地書」プロジェクトに新たな息吹を与えるものです。

WORKS

Artist
徐冰 Xu Bing
Title
Book from the Ground Pop-up Book
Year
2015-2021
Medium
128g, 230g specialty paper with non-acid latex
Size
24.2x35.3x4.7cm / box: 37.4x26.3x13.1cm
お問合わせ

徐冰は、中国において実在しない偽漢字を約4000文字創作し、それらを木片に刻みあたかも本物の印刷物のように見せかける作品で知られています。展覧会ではその方式で作成された本や巻物を使用してインスタレーションを行ってきました。1991年にニューヨークに渡ってからは、アメリカ人にも読めるアルファベットを使用した偽文字を創作し発表し、高い評価を得ています。
徐冰は共働きの両親のもとに育ったため、図書館に勤める母の影響で、字が読めないうちから文字を毎日見て過ごした、と言います。その後、天安門事件を境に旧漢字から新漢字に変更されたり、またNYに渡ってから英語を話すようになったりする過程で、言葉やコミュニケーションに強く関心を持つようになりました。それらの経験は、作品制作に強く影響しているそうです。

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