東京画廊+BTAPでは、5月14日(土)より瀧本光國個展『相から相』を開催致します。
瀧本光國は1952年福岡県生まれ。1977年にイタリアに渡ります。ミラノで活躍する豊福知徳に師事し、以降、伝統技法を守りながら、45年にわたり一貫して木彫の作品を制作してきました。その一方で、瀧本は仏像修復の専門家としても活動しています。2014年の文化庁の研修制度によるイタリア留学から帰国後、2016年に弊ギャラリーで個展を行いました。本展はそれに次ぐ第二回目の「彫相」シリーズの展示となります。
1980年代、豊福の影響を受けてレリーフ状の抽象彫刻を制作していた瀧本は、90年代に表現を変化させ、具象へと近づいて行きます。具象とは言っても、瀧本が対象として選んできたのは滝や川、あるいは雲や煙など、見る人の記憶にかすかな残像として留まるかたちばかりです。これら流動的なかたちの表面に残されたノミ跡は、制作という行為の痕跡であると同時に、不定形のイメージを掴もうとする意識の働きを象徴するものです。
イタリア留学から帰国後、瀧本は近代美術史の著名な作品を借用して具象彫刻を作る「彫相」シリーズをスタートさせました。本展で展示する《相 – アングルの瀧》(2021年)は、19世紀フランスのジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルの代表作《泉》(1820-1856年)の、水が流れ出る甕を参照しています。ほかにも、《相 – 黒い服の少女》(2022年)と《相 – 黒い猫》(2022年)は、バルテュスの《乗馬服を着た少女》(1932年)、《猫たちの王》(1935年)をそれぞれ参照するものです。瀧本がこれまで制作の対象としてきた不定の形状は彫像を構成する諸要素に昇華され、絵画上の人物や動物は自由でおおらかな空間表現として新たな息吹を吹き込まれます。
本展の開催と合わせて、鍵岡正謹氏(岡山県立美術館顧問)による評論文を掲載したカタログを出版する予定です。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
*5月27日(金)は「画廊の夜会」の開催に伴い、21時まで開廊いたします。
WORKS
瀧本光國
瀧本光國は1952年福岡県生まれ。1977年にイタリアに渡りミラノで活躍する豊福知徳に師事し、以降、伝統技法を守りながら、45年にわたり一貫して木彫の作品を制作してきました。また瀧本は古い仏像修復の専門家としても活動しています。1980年代、豊福の影響を受けてレリーフ状の抽象彫刻を制作していた瀧本は、90年代に表現を変化させ、具象へと近づいて行きます。具象とは言っても、瀧本が対象として選んできたのは滝や川、あるいは雲や煙など、見る人の記憶にかすかな残像として留まるかたちばかりです。これら流動的なかたちの表面に残されたノミ跡は、制作という行為の痕跡であると同時に、不定形のイメージを掴もうとする意識の働きを象徴するものです。
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