この度、東京画廊+BTAPでは、宮澤男爵個展『盲斑』を開催いたします。
宮澤男爵は1981年千葉県生まれ。東京画廊+BTAPでは2008年の二人展『消息』を皮切りに、2010年に個展『宙吊り』、北京のBTAPでは2011年に個展『消息』を開催しました。2015年以来6年ぶりの個展となる本展では、宮澤の新たな取り組みであるキャンバスや綿を使用した新作を発表致します。
これまでの宮澤は「見ていること」をテーマとして制作してきました。そのことを絵画にするために、書く行為の跡が判別できる技法と素材にこだわり、結果、紙に鉛筆や水彩を使うドローイングとなったのです。
しかし今回の「盲斑」では、絵画の起因となる「見ること」に立ち返り意識下にある「見ていること」から無意識でも「見えていること」にテーマを転じます。
「見ること」を成す眼球は、あらゆる光を受け入れ「見ていること」を超える情報を大脳に送ります。「見えていること」は「見ていること」より映像量は多く、しかも網膜には光を採らえられない「斑」があり「見えないこと」が起こっています。でも私たちは「見えていないこと」がありながら、その盲斑を意識していません。宮澤はキャンバスにアクリルでペインティングをしながら、それに気付きペインティングには空間があってもドローイングで生じる余白がないことを知ったのです。そのうえに網膜が曲面であることから「見えていること」には歪みがあることも考えました。
「盲斑」展が「見ること」の不思議を観る人と一緒に考える場となれば本望だと作家は言っています。
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
山本豊津
*参照:中原佑介著「見ることの神話」(1972年 フィルムアート社)
WORKS
宮澤男爵
宮澤男爵は2004年に東京都が主催する公募展「トーキョー・ワンダーウォール公募2004」で入選し、東京画廊+BTAP(東京)において、2008年に古林希望との二人展、2010年に個展を開催。更に国内外のアートフェアで作品を発表しています。宮澤男爵は、主に鉛筆を用いていくつもの細かい線や丸、水彩の色のにじみを利用して不定形な人物を描きます。描かれたイメージは画面上に定着せず、絶えず何かが動いているような印象を与えます。まさにそれは存在としての消息を感じられ、現代の人々のうつろいやすい、不安な気分を象徴している作品です
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