Tokyo
SHIMURAbros Evacuation
2020/3/7–3/31
※ ゲーテインスティチュート『Migration Narratives in East and South East Asia』のためのコミッション作品
この度、東京画廊+BTAPでは3月7日(土)から三週間にわたり、SHIMURAbrosの最新作<Evacuation>を展示いたします。
SHIMURAbrosはユカ(1976年生まれ。多摩美術大学卒後、英国セントラル・セント・マーチンズ大学院にて修士号を取得)とケンタロウ(1979年生まれ。東京工芸大学 映像学科卒)による姉弟ユニットです。平成21年度文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。その後カンヌ及びベルリン国際映画祭での上映をはじめ、日本国内外の美術館で作品の展示を行い、近年では恵比寿映像祭への出品や、NTU CCA Singaporeのレジデンスプログラム参加など、活動の場をさらに広げています。2017年にはArtReview Asia誌のA Future Greatsに選ばれました。平成26年度ポーラ美術振興財団在外研究助成を得て拠点をベルリンに移し、現在はオラファー・エリアソンのスタジオに研究員として在籍し活動しています。
<Evacuation>はSHIMURAbrosが昨年、ゲーテインスティチュートからの助成を得て、カリブ海のキュラソー島で滞在制作をした映像/インスタレーション作品です。シャビール・フセイン・ムスタファ 氏(シンガポール国立大学美術館キュレーター)による同インスティチュートへの推薦により実現しました。
制作のきっかけは、2017年の京都府舞鶴市におけるアーティスト・イン・レジデンスでした。隣町の敦賀に多くのユダヤ人難民が滞在していた歴史を知り、そのルートを開いた杉原千畝のリサーチを始めます。杉原は、第二次大戦中のリトアニアで、ナチスに迫害されたユダヤ人に日本通過ビザを発行し、彼らの命を救った外交官です。アーティストは、オランダ領キュラソー島が、杉原が発行したビザの「名目上の行き先」となっていた事実に関心を持ち、現地でのリサーチ・制作を行いました。
作品は、美しい海と平穏な街並みの映像が続き、亡命ユダヤ人たちのインタビューに基づくモノローグが語られます。杉原千畝とユダヤ人難民の歴史的エピソード、奴隷貿易の拠点として栄えたキュラソー島に伝わるドラムミュージック、また、ベルリンを拠点に活動する自らの移民としての経験、など、様々な事実と物語、時間軸が絡み合い、ひとつの映像経験を形作ります。
本作品は昨年の11月より韓国・光州のAsia Culture Centerで行われた『Migration: Speaking Nearby』で展示され、国内では初展示となります。