Tokyo

榎倉康二

1980/6/9–1989/6/21

掲載評論:千葉成夫「あるいは世界の切口との接触」

榎倉康二

榎倉康二は1942年東京生まれ。1968年に東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。1970年に弱冠27歳の若さで中原佑介がコミッショナーを務めた「第10回日本国際美術展<人間と物質>」にリチャード・セラ、クリスト、カール・アンドレ、高松次郎や小清水漸らと共に出品しています。さらに、翌年の第7回パリ青年ビエンナーレでは、優秀賞(留学賞)を受賞。1年間のパリ滞在を経て、旧西ドイツのアーヘン美術館や国立国際美術館で個展を行い、国際的に高い評価を得ました。1979年と1980年には続けて「ヴェネチア・ビエンナーレ」に出品。1995年に逝去(享年52歳)した後も、東京現代美術館で大規模な回顧展が開催されるなど、榎倉が生涯追求した思想と、その表現である一連の作品は、今でも世界的に高い関心を集めています。
壁に廃油を染み込ませたり、廃油・アクリル塗料をつけた木材を綿布に押し当てた滲みを利用するなど、榎倉の作品は、独特の技法が生み出す際だった存在感で知られます。榎倉はその一連の創作によって、物と物との関係や物と身体との関係から生じる物質性に着目し、「絵画」の枠組みからの逸脱を試みます。

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