Tokyo

俸正杰

2006/9/8–9/30

俸正杰(フォン・ジョンジエ)展
2006/9/8(fri) - 9/30(sat)

[2006年9月8日(金)17:00-19:00]
*Feng Zhengjie展オープニングレセプション開催。アーティストもオープニングのために来日しますので、皆様のご来廊を心よりお待ちしております。

この度、東京画廊は北京在住の中国人アーティスト俸正杰による個展を開催いたします。

俸正杰は四川美術学院在学中、21歳のときに天安門事件を経験し、以来社会に対する批判的視点を持って活動している作家です。天安門事件をきっかけに、彼はかつて賞賛してきた中国の社会主義的リアリズムに代表される体制的美術や、欧米のアカデミズムを否定し、独自の美術的、社会的スタンスを築き上げてきました。

今回の個展では、作家が2000年頃から取り組んでいる『チャイナ・シリーズ』の新作をお届けします。このシリーズは、現代の中国社会に対する彼の批判的姿勢を示しています。顔がアップで描かれている女性たちは先端のファッションに身を包み、虚ろな表情を浮かべています。ぽってりとした赤い唇、おしろいを塗ったような真っ白な肌、色づいた頬、濃いピンクやグリーンの髪、形の整った眉など、全てが官能的、魅惑的であるがゆえ、そこに描かれる目の異常さが突出して奇妙で、不快とも言える印象を与えます。黒目の部分は極端に小さく、眼球の端に描かれ、焦点は合っていません。作家はこのシリーズに関してこのように語っています。

「中国の人々は、世界の他の地域と同様に流行りの生活スタイルを享受することができるようになってきました。しかし物質的に満たされた生活への陶酔と充足感、止めどない消費をするということへの欲求は心の中にある混乱を一層深めることになります。彼らは落ち着きのない目で辺りを見回します。それはまるで、世界を手に入れたけれども自らを失ったかのようにも思えます。『チャイナ・シリーズ』は特定の人物を描いているのではありません。20世紀と21世紀に中国が収斂していく社会、辺りを不安げに見回す外見の美しい、しかし心は空虚な人々が生きる社会について描いているのです。」(俸正杰)

俸正杰の作品は近年、国際的に非常に高い評価を得ており、世界中の美術館やギャラリーで展覧会が行われています。東京で彼の作品が展示される貴重なこの機会に、是非ご高覧ください。